怖い話③ー2

色々ある心霊体験。

よくテレビでやっているのは

声が聞こえた、勝手に空いた、髪の長い誰々がいたっというものだろう。

似たようなものである。

私は不動産営業マンである。

お母さんは足を引きづっていたのを見ていたのである。

絶対に2階は決まらない。

そう感じた私はあえて2階を先に案内し、家族みんなで見ている隙に、1階へ急ぎ戻り

向かって左から、そう101、102、103、105と順に換気をしようと考えた。

まずは101号室、南側は道路になっていて、日当たりはバッチリだ。

ここの建物は全室南向き、且つ南側に道路があるため、日当たりが良い。

しかも、高級住宅街のなかのため、背の高い建物が無いことも幸いしている。

2LDK、15LDK×6和×6和の間取りは、広々とした2LDKである。

これは決まったか。

むしろ何故にこんなに空いているんだろうか?疑問に思ったほどである。

いかん。他の部屋も換気せねば。

急ぎ、102号室へ足を運んだ。

ここから私は1週間ほど心霊現象に悩まされることになる。

102号室の玄関ドアのカギを開けた私は部屋に入ろうとした。

入ろうとした瞬間、この世とあの世の境界には、シャボン玉のような膜があることを知る。

よく聞く話で、背筋が寒くなるなんて話があるだろう。

違う、耳の手前までが温かく、耳の手前から後ろが寒い。

そんな感じである。

表現的にはシャボン玉に顔と体の半分が入り、残りの半分はシャボン玉の外にある状態と言うと感覚的に近いだろう。

玄関に入った1歩目である。

刹那の一時、初めての感覚に戸惑う私。

音に気付く。お風呂場から水が流れる音がする。すごい量である。

蛇口を全開にしてるような水の量である。

待て。今は冬。外は雪。凍結した配管が破裂してる?と冷静な考えが頭をよぎる。

この建物の間取りは左右対称のため101号室の反対の間取りが102号室である。

音でどこから水が出ているかは、分かったのは、それが理由だった。

その時の視界は足元。その自身の視界の端の何かに気づく。

人影である。

日当たりが良いため、南側からの日光は部屋全体に差し込んでいる。

人影である。

カギを開けたのは自分で、部屋は空き部屋である。

誰?

顔をあげる前に影が形を変える。

影が伸びたと思ったら、人影はそのまま自分自身を通過していった。

これは不味い。

すぐに部屋から出て、2階にいた客を呼び、すぐに車へ移動し、次の物件へ向かった。

最初の物件については、客も気に入らなかったようで、2件目の物件に決まった。

この物語の本番はここから。

恐怖体験が始まるのは、ここからである。

次回へ続く。

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